立民と維新、主導権争い 衆院東京15区補選、自民不在

 立憲民主党と日本維新の会は、自民党候補が不在の衆院東京15区補欠選挙で対決している。「本選」と位置付ける次期衆院選を見据え、野党第1党を巡る主導権争いの様相だ。小池百合子都知事が推す無所属候補も加わり、混沌とする状況の中で保守票や浮動票を奪い合う構図だ。

衆院東京15区補選の戦略
衆院東京15区補選の戦略

 ▽パワーバランス
 「自民にとって一番きついのは立民が三つ勝つことだ。勝てば勝つほど政治改革が前に進む」。立民の泉健太代表は24日、東京都江東区で衆院3補選の全勝を訴えた。
 立民にとって、補選は次期衆院選の行方を占う「リトマス試験紙」(岡田克也幹事長)の意味合いを持つ。とりわけ東京15区で維新候補に競り負けるような展開になれば、従来の地盤である「立民は関東、維新は関西」とのパワーバランスが崩れ、維新進出の足場を築かれかねない。
 ただ立民が矛先を向けるのは維新ではなく、もっぱら自民だ。派閥裏金事件に照準を合わせ、岸田政権の批判票の受け皿を狙うのが基本戦略。立民都連関係者は「裏金に怒る無党派層を取り込む」と意気込む。
 立民が警戒するのが、小池氏が街頭演説で並び立つ無所属候補の動向だ。自民が推薦を見送ったことで、陣営関係者は「自民の支持者に配慮する必要はなくなった。裏金事件を批判しないと選挙にならない」と明かす。立民同様に政治改革を主要な争点に据える。
 ▽許容範囲
 一方、維新は立民への攻撃姿勢を強める。藤田文武幹事長は24日の記者会見で、東京15区で共産党の支援を受ける立民を問題視。「立憲共産党の連合軍がいいのかと国民に問いかける」と強調した。
 長崎3区も自民候補不在で、維新と立民候補の一騎打ちだ。立民との違いを際立たせることで、自民支持層への浸透を図る。特に馬場伸幸代表は「立民には投票しないでほしい」「立民をたたきつぶす必要がある」と名指し批判を繰り返す。
 東京15区は参政党の公認候補や諸派を含め計9人が立候補している。維新関係者は自民票の取り込みに期待する。「共産が支援する立民候補とは異なり、自民支持層でも維新候補は選択肢として許容範囲のはずだ」

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