首相、移住被爆者と面会へ ブラジル訪問、核軍縮発信 対中南米政策スピーチも

 岸田文雄首相が5月上旬に予定するブラジル訪問の際に、戦後に移住した在ブラジル日系人の被爆者との面会を調整していることが分かった。自らが掲げる「核兵器のない世界」の重要性を発信する狙いがある。海外最大規模のブラジルの日系人社会と連帯することを確認し、対中南米外交に関する政策スピーチも行う。政府関係者が25日、明らかにした。

岸田文雄首相
岸田文雄首相

 滞在中の5月4日にブラジルの最大都市サンパウロで、移住者らでつくる「ブラジル広島県人会」のメンバーらと交流する予定だ。その際、広島の原爆投下で被爆した渡辺淳子さん(81)らと懇談する。渡辺さんらは現地で被爆の実体験を伝える活動に力を入れており、首相は取り組みを直接聞き、激励する。
 日系人向けの演説も予定し、日系社会との交流強化や現地で毎年開かれる「フェスティバル・ド・ジャポン(日本祭り)」など日本文化の発信に取り組む若手日系人の支援を打ち出す方向だ。
 政府の日本文化広報拠点「ジャパンハウス」を視察し、47都道府県の県人会代表者と面会する見通しだ。外務省の推計では、ブラジル在住の日系人は約270万人いる。
 対中南米政策スピーチはサンパウロ大で実施し、昨年の国連総会で表明した「人間の尊厳」の確保に向けた協力を呼びかける。国際社会が分断を深める中で、法の支配に基づく秩序維持の重要性を訴える。
 首相は5月1~6日の日程でフランス、ブラジル、南米パラグアイを歴訪し、各国首脳と会談する予定だ。フランスでは経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で演説する。

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