伝統野菜280種データベース化 オンライン公開を開始

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)は、日本各地で伝統的に栽培されている野菜など280種の情報が見られる「在来品種データベース」のオンラインでの公開を始めた。北海道の「まさかりかぼちゃ」のような珍しい品種もあり、農家や地域文化を伝えたい教育関係者に活用してもらう狙いだ。

新潟の食用菊「かきのもと」(農研機構在来品種データベースより)
新潟の食用菊「かきのもと」(農研機構在来品種データベースより)

 在来品種は地域の気象条件や文化に合わせて育てられてきた野菜や雑穀で、近年は生産者の高齢化や一般的に流通する野菜に押され、失われつつあるという。農研機構は「貴重な遺伝資源」と位置付け、新種開発の素材としての価値も高いと強調している。
 データベースには、特性や栽培方法、食べ方や由来を写真とともに掲載。山形大と共同調査し、試行版として40品種を整理していたが、3月から拡大。さらなる品種の情報提供も求める構えだ。
 まさかりかぼちゃは現地での呼び方で、明治時代に米国から導入された品種が始まりとみられる。皮が硬くネズミの食害を受けにくいことから戦後に普及した。
 このほか愛知の「天狗なす」は、てんぐの鼻のような突起がごくまれにできる。新潟の食用菊「かきのもと」は、垣根の根元に植えたことが諸説ある名前の由来の一つなどと説明している。
 鹿児島の「桜島ダイコン」は江戸時代の文献に記録があるなどと紹介し、歴史的な知識も知ることができる。

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