書店ゼロの自治体、27%に 沖縄、長野、奈良は過半を占める

 全国1741市区町村のうち、書店が1店舗もない自治体が今年3月時点で482市町村に増え、全体の27・7%に上ることが27日、出版文化産業振興財団の調査で分かった。人口減少やインターネット通販の普及を背景に書店の数自体が減り、沖縄(56・1%)、長野(53・2%)、奈良(51・3%)の3県で書店ゼロの市町村が過半を占めた。政府は書店の支援に乗り出すが、特効薬は見当たらず、地道な取り組みが求められそうだ。

書店がない市町村の割合
書店がない市町村の割合

 書店ゼロの自治体は初めて調査した前回2022年9月の456市町村(全体の26・2%)から拡大し、地域の書店が担う文化発信機能の弱体化が懸念される状況が浮かび上がった。
 集計対象は取次会社と販売契約を結んでいる実店舗をベースとし、ネット書店や大学生協、古書店は含まれていない。全国の書店数は7973店で、前回調査に比べ609店減少した。書店が1店舗あるだけで「無書店予備軍」とも言える市町村は343に上り、書店ゼロと合わせた比率は計47・4%に達した。
 書店ゼロの自治体比率は地域によって差が大きく、広島と香川の2県は前回、今回調査とも全自治体に書店が確認された。過疎化が進む小規模の自治体ほど書店ゼロの比率が高い傾向がうかがわれ、書店ゼロの市は25(全体の3・2%)、町は295(39・7%)、村は162(88・5%)だった。東京23区は全区に書店が立地していた。
 財団の松木修一専務理事は書店の経営環境について「売り上げが上がらないのに、人件費など経費は上昇して厳しさが増している」と指摘。「出版社や作家と連携して書店の魅力を高め、来店客を増やす努力が求められている」と語る。
 経済産業省は書店振興に向けたプロジェクトチームを3月に設置した。具体的な支援策の検討を今後加速させる。

 本の流通 出版社は委託販売制度により、卸業者である取次会社を通じて書店に本の販売を委ねている。新刊書籍や雑誌は文化振興の観点から再販売価格維持制度が適用され、出版社が決めた定価で販売される。インターネット販売も同様だが、配送料の無料化やポイント付与により、実質的な値引きが行われているとの指摘がある。

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