旧三井三池炭鉱電車の展示始まる 戦前から活躍、地域観光の目玉に

 福岡、熊本両県にまたがる旧三井三池炭鉱で石炭を運搬した電気機関車「炭鉱電車」の展示施設が4月、福岡県大牟田市に完成した。施設名「炭鉱電車ステーションゼロ」は近くに、走行するための専用路線の起点があったことに由来。かつて盛んだった炭鉱の歴史を伝え、地域観光の目玉にしたい考えだ。

福岡県大牟田市に完成した「炭鉱電車ステーションゼロ」=18日
福岡県大牟田市に完成した「炭鉱電車ステーションゼロ」=18日

 地元で物流事業を手がける白石自動車(大牟田市)が2022年12月、三井化学大牟田工場から無償で譲り受けたことを機に施設が整備された。展示しているのは1915年製の11号と36年製の19号の2両。
 専用路線で使われたレールや枕木を再利用し、線路約50メートルを施設に再現。2両は保線用ディーゼルカーがけん引して走行する。白石自動車の白石政嗣社長(70)は「炭鉱として日本のエネルギーを支えた大牟田の、新たな産業観光のけん引役として活躍してほしい」と期待を込めた。
 専用路線は蒸気機関車を経て1930年代にほぼ全線が電化された。大牟田市や熊本県荒尾市に点在する炭坑や港をつなぎ石炭を運んだほか、昭和期は労働者や住民の通勤用にも使われた。
 97年の三井三池炭鉱閉山後は、JR鹿児島線から大牟田工場に原材料を運ぶ専用線で活用したが、2020年に廃線となった。路線の一部は「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産登録されている。
 6月までは第3土曜日・日曜日に公開。来場客を炭鉱電車の運転台に乗せて車両を動かす体験会も実施するという。問い合わせは白石自動車、電話0944(52)3366。

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