海岸のごみから「怪獣」創作 アーティストは小学1年、愛知

 愛知県南知多町の小学1年上杉舞弦君(6)が、海岸のごみを作品へと変身させる「海ごみアーティスト」として活躍している。近所の海のごみや漂流物から恐竜や鳥などを創作。作品の販売収益は環境保全にも役立てる。海の生き物を絶滅に追いやるごみから生まれた作品を「怪獣」に例え、「海ごみ怪獣を生まないで。ごみを海に流さないで」と願いを込める。

海岸のごみで作った作品を手にする上杉舞弦君=15日、愛知県南知多町
海岸のごみで作った作品を手にする上杉舞弦君=15日、愛知県南知多町

 3年前、新型コロナウイルスのまん延をきっかけに、愛知県豊明市から同町の海岸沿いに引っ越してきた。海岸には、木曽川や長良川から流れ着く漂流物や、捨てたごみが散乱し「嫌だった」と舞弦君。父純一さん(43)は「注射器が落ちていることもあり、とてもはだしで歩かせられない」と話す。
 3歳のころ、名古屋市の名古屋港水族館で、ウミガメが海洋プラスチックなどのごみをのみ込んで苦しむ現状を知り、「海をきれいにしたい」と思案するように。以来、家族と海岸を毎週清掃している。
 デザイナーの父の影響も受け、集めたごみを材料に創作し始めた。作品はブイや釣り具、ガラスなどを接着剤やねじでつなぎ合わせて作る。専用の工具も「簡単だよ」と使いこなす技術は大人顔負けだ。自身を怪物、作品を怪獣に例えた「陸のかいぶつと海のかいじゅう」の名で活動する。
 創作物は劣化が早いため、画像などに加工してデジタル作品として千~1万円台で販売している。収益はトングやごみ袋の購入費用に充て、再び材料となるごみを拾う。この循環により、これまでの3年間で50以上の「怪獣」を生み出した。
 名古屋市科学館から声がかかり、特別展の海との共存を題材にしたコーナーで6月まで、釣り用バケツなどを使った海のモンスターを展示している。作品を通して、多くの人に環境保全を訴えている。
 舞弦君は「たくさんの人がごみを拾ってくれれば掃除もすぐに終わる」と話す。作品を見た人の意識の変化を願い、今後も家族と楽しく海岸の清掃に励むという。

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