幻の魚イトウ、命つなぐ春 北海道、産卵へ体染め遡上

 日本最大級の淡水魚で「幻の魚」と呼ばれる絶滅危惧種イトウが産卵期を迎え、北海道北部の川を遡上している。27日、鮮やかな赤の「婚姻色」に染まった雄が、上流域で雌と寄り添うように泳ぐ様子が見られた。

産卵のため、北海道北部の川の上流域を遡上するイトウのペア。雄(左)は鮮やかな赤の「婚姻色」に染まっている=26日
産卵のため、北海道北部の川の上流域を遡上するイトウのペア。雄(左)は鮮やかな赤の「婚姻色」に染まっている=26日

 イトウはサケ科で、過去に体長2・1メートルの個体が捕獲された記録がある。国内では北海道にのみ生息。環境省のレッドリストで絶滅の恐れが2番目に高い「絶滅危惧1B類」に分類されている。
 午前7時ごろ、水深約30センチの小川に、体長60~80センチの雄数匹が姿を見せた。約1時間後、約40センチの雌も現れ、水面にかかるささやぶの下に隠れるようにして1匹の雄の横にぴったりと並んで泳いでいた。
 別の場所で26日、小型カメラで水中をのぞくと、雌が尾びれで器用に小石を飛ばして産卵床をつくり、雄が何度も左右に位置を変えて産卵を促す様子も確認できた。
 環境省によると、イトウの産卵期は4~5月。生涯に何回も産卵し、20年以上生きる場合もある。河川改修による生息場所の消失や、水質悪化などで個体数が減少した。

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