南ア、初の全人種選挙から30年 差別根絶へ誓い新た

 【プレトリア共同】1990年代前半までアパルトヘイト(人種隔離)が行われていた南アフリカで、94年に初の全人種参加選挙が実施されてから30年となった。首都プレトリアで27日、記念式典が行われ、ラマポーザ大統領は「今なお社会に存在するさまざまな不平等を乗り越えなければならない」と述べて、差別根絶へ向け誓いを新たにした。

初の全人種選挙から30年を記念する式典の会場で、南アフリカの国旗を振る子どもたち=27日、首都プレトリア(共同)
初の全人種選挙から30年を記念する式典の会場で、南アフリカの国旗を振る子どもたち=27日、首都プレトリア(共同)

 南アでは第2次大戦後、白人支配体制下で異人種間の結婚を禁じるなど人種差別の制度化が進んだ。解放闘争や国際的非難を受けて、91年にアパルトヘイトの根幹法が全廃された。94年の選挙でアフリカ民族会議(ANC)が圧勝して故マンデラ氏が初の黒人大統領に就任し、白人支配は終わった。
 27日の式典には多数の市民も出席した。参加したスタンレー・マセニャさん(47)は「白人と黒人の経済格差は是正されていない」とし、「マンデラ氏が夢見た多人種共存の『虹の国』は実現していない」と訴えた。
 ANCは94年以降、下院の過半数を維持してきた。だが近年は高失業率や汚職疑惑などで有権者のANC離れが顕著となっている。来月29日に予定されている総選挙でも苦戦が予想されており、初の過半数割れに追い込まれるとの観測も出ている。

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