首相、衆院解散「全く考えず」　３補選全敗で陳謝、苦境浮き彫り

　岸田文雄首相は３０日、自民党が全敗した２８日の衆院３補欠選挙を踏まえこれまで以上に強い言いぶりで衆院解散を否定した。解散時期を問われ「一つ一つの課題に結果を出すことに専念する。全く考えていない」と強調した。補選の結果については自民の派閥裏金事件が「大きく足を引っ張った」として陳謝した。官邸で記者団の質問に答えた。

　首相はこれまで国会審議や記者会見で衆院解散について問われた際に「今は」と留保を付けて答えるケースが多いが、この日は言及はなかった。３補選全敗で与党内に６月の通常国会会期末に合わせた衆院解散に慎重論が増していることに配慮したとみられる。今後の政権運営の厳しさが浮き彫りになった格好だ。
　補選の結果について「真摯に重く受け止めている。島根１区については自民の政治資金問題が大きく足を引っ張ったことを候補者や地元に対し申し訳なく思っている」と語った。
　全敗に対する自らの責任に関し「党総裁、政権与党として課題に一つ一つ取り組み、結果を出すことによって責任を果たしていかなければならない」と説明。党改革や政治改革、賃金、物価高対策で成果を上げ、国民の信頼回復に努めたいと訴えた。
　国会の政治改革特別委員会で議論が本格化する政治資金規正法改正の実現に向け、議論に資するよう党としての方向性を明らかにするとした。

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