世界の原発に新安全原則を チェルノブイリ「城下町」が訴え

 廃炉が進むウクライナ北部チェルノブイリ原発の職員らが暮らす“城下町”スラブチチが、ロシアの一時占領下にあった経験を基に、紛争リスクを考慮した原発の新たな安全原則の策定を国際社会に呼びかけている。国内の避難民も積極的に受け入れ、原発依存の経済構造からの脱却も図る。

インタビューに答えるウクライナ・スラブチチのフォミチェフ市長(共同)
インタビューに答えるウクライナ・スラブチチのフォミチェフ市長(共同)

 「ロシアとの戦争は世界を変えた。世界は核のリスクを認識している」。4月24日、チェルノブイリ原発の廃炉などに関する会議でフォミチェフ市長(48)は訴えた。ロシアは同原発やスラブチチを一時占領し、今は南部ザポロジエ原発を占拠。略奪や攻撃で原発の安全性が揺らいでいる。
 これまで9回開かれた会議には20カ国から毎年100人以上の専門家らが参加。廃炉を巡る研究成果や、原発職員の福祉などを話し合うのが目的だったが、侵攻後は軍事紛争下での原発の安全確保という新たなテーマが加わった。
 フォミチェフ氏は取材に対し「テロ対策はあったが、国が攻め入るなど誰も想定していなかった」と指摘した。各国や国際機関を招き、効果的な安全確保の仕組みを作りたいと述べた。
 スラブチチは人口約2万人。旧ソ連時代の1986年に原発事故が起き、移住を強いられた作業員らのために原発の北東約50キロに建設された。侵攻後、原発は軍事上の主要防衛拠点となり、警備も厳格化され職員数は半減した。人口も減る中、原発に依存する地域経済の転換は急務で、工業団地を整備し、積極的に企業の誘致を図っている。
 南部マリウポリからスラブチチに逃れ、食品加工会社を起業したマリア・ブブノワさん(41)は「電力や設備など良い環境を提供してくれた」と話す。ボルシチなどの袋詰めスープを製造・販売し、軍にも納品。将来的に国外進出も目指している。(スラブチチ共同)

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