南アルプス認知度向上を 調査研究組織設立へ つなぐ会初理事会【大井川とリニア】

 南アルプスの自然環境保全と利活用を目指す官民組織「南アルプスを未来につなぐ会」(会長・山極寿一総合地球環境学研究所長)が7日、県庁で初の理事会を開き、活動方針の作成に向けた課題を整理した。富士山や北アルプスに比べて認知度が低いという意見が相次ぎ、現地での学術的な調査研究などを通じて南アルプスの特性や実態を明確にする方向性を決めた。

南アルプスの認知度の低さが課題として指摘された理事会=7日午後、県庁
南アルプスの認知度の低さが課題として指摘された理事会=7日午後、県庁


 松井孝典千葉工業大学長は「ほとんどの人が南アをよく知らない」と問題提起し、秋道智弥山梨県立富士山世界遺産センター所長は「南アに何があるのか。特異的な現象やおかしいと思うことをもう少し調べないと」と注文を付けた。
 会では調査研究の中核組織として学術フォーラムを2月に設立する方針も確認した。若手研究者の育成を兼ね、南アの生態系やそれを支える地域文化の継承を体系化する。静岡市が過去に学術的観点から南アの魅力を整理した「南アルプス学」の活用も提唱された。
 大井川流域の水循環に関しては徳地直子京都大教授が「環境保全が自分のためだと思わないと人は何もしない。南アが水にどんな恩恵をもたらしているのか下流の人に知ってほしい」と指摘した。
 理事として出席した川勝平太知事は、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題に触れ「これから生態系の議論が国である。(議論の内容を)委員に共有してもらうのが望ましい」と述べた。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞