コロナ後の浜松中心街 胸躍り歩き回れる街に【風紋】

 昨年のクリスマスに浜松市の中心街で久々に行われた餅まきイベント。地元の住民や親子連れが餅や菓子をつかみ取ろうと手を伸ばし、笑顔あふれるひとときを過ごした。夜に街中を歩けば、日付が変わった深夜にも多くの人が行き交い、華やかな雰囲気に包まれていた。
 長引くコロナ禍で人通りの少ない街中が続いていたため、12月はわくわくした。新型コロナウイルスによる影響が小さくなれば、こんなにもにぎわいが変わるのかと驚いた。
 中心街では有楽街に建つ浜松松竹ビルが改修されることが決まった。東京都内の不動産コンサルティング会社の関連会社がビルを取得し、主に飲食店が入居しやすいように早ければ今春にもリノベーションを始めるという。なぜ、この厳しい時期に行うのかと疑問も浮かんだが、「コロナが収束すれば人出が十分見込める」と言う担当者の言葉は力強かった。
 周辺でも昨年、静岡市内のクラフトビール醸造所が地元の醸造所兼バーの隣に出店した。クラフトビールの店が並んで店を構える例は珍しく、両店は連携して誘客している。飲食店以外では、衣類や小物店を集約したファッションビルが登場した。街中の落ち込みは依然として深刻な状況だが、「アフターコロナ」や「ウィズコロナ」を見据え、独自性の高い店づくりが進んでいる。
 2023年には徳川家康を題材にした大河ドラマが放映される。浜松城エリアに大河ドラマ館が設置される予定で、JR浜松駅からドラマ館まで、街中を含めた新たな人の流れが生まれることが期待されている。この好機に合わせ、一過性にならないよう官民が連携して回遊性を高めてほしい。
 外出自粛や、巣ごもりが加速しているからこそ、実際に行かなければ体験できないことの魅力が増している。胸が躍る街を歩きたい。

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