「工事考え直す段階」川勝知事が見解 流域市町の意見受け【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題を巡り、川勝平太知事は26日の定例記者会見で、現時点で着工は認められないと流域10市町や11の利水団体と認識が一致したことを踏まえ、同トンネルの工事計画に関して「一度考え直す段階に入った」との考えを示した。流域の市町や団体から提出された意見の概要も公表した。

県の認識「現状では、南アルプストンネル工事を認めることのできる状況にはない」について流域市町と利水団体の主な意見(県発表資料より抜粋、市町名、団体名は非公表)
県の認識「現状では、南アルプストンネル工事を認めることのできる状況にはない」について流域市町と利水団体の主な意見(県発表資料より抜粋、市町名、団体名は非公表)

 川勝知事は、国土交通省専門家会議中間報告について「(報告内容を)理解した関係者が着工を受け入れることができないと言ったので、JR東海は(流域の理解を得なければ着工しないとした)約束を守らなくてはならない」と指摘。JRの対応に関しては「このままだと前に進めないことが示された。私が(JRの)トップなら(リニア事業を)強引に進めるのか、損切りか、二者択一を突き付けられたと受け止める」と言及した。
 金銭補償に関しては「長期的な議論で出てくるかもしれない問題」としながらも、「補償せざるを得ない状況になるようであれば、けしからんという人も出る」と否定的な見解を示した。
 大井川上流部の水源を貫く南アルプスルートは、利水団体の一部に変更を求める声がある。川勝知事は、環境影響評価のルート絞り込み段階で大井川の水資源が十分考慮されていなかったと報じた静岡新聞記事を取り上げて、ルートの選定過程をJRに確認すべきとする見解も示した。

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