「着工容認できず」流域一致 静岡県、JRと国に見解送付【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題を巡り、静岡県は26日、国土交通省専門家会議の中間報告を踏まえて流域10市町(島田、焼津、掛川、藤枝、袋井、御前崎、菊川、牧之原、吉田、川根本)と土地改良区など11の利水団体の見解を取りまとめた結果、「現状では工事は認めることのできる状況ではない」とする認識で一致したと明らかにした。この認識を記した書面をJR東海と国土交通省に同日送付した。

静岡県庁
静岡県庁

 書面では、工事中のトンネル湧水全量戻しの方法が示されておらず、水質への影響、トンネル残土の処理方法などの議論が不十分だと理由を説明。生態系への影響についても国交省会議や県有識者会議専門部会で適切な回避、低減策が示されていないとした。
 JR東海の金子慎社長が昨年4月に「着工は流域の理解と協力を得ることが前提」とする意向を表明したことを踏まえ、同社に対し「流域住民との約束なので、着工できない状況であることを十分認識を」とくぎを刺した。今後再開する県専門部会での水資源問題の協議には「真摯(しんし)な対応を」と求めた。
 国交省に対しては、生態系の問題で県専門部会の論点整理を待たず、国交省会議の開催時期や議論の内容を示すよう要請した。
 書面は、県が中間報告の内容を説明した20日の大井川利水関係協議会後、構成する市町や団体に意見照会した上で取りまとめた。

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