川勝知事「ルート選定時、説明なし」 選定経緯に疑問呈す【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題を巡り、川勝平太知事は7日の定例記者会見で、国土交通省やJR東海が南アルプス(大井川上流域)をトンネルで貫通するルートを選定した際、水資源や生態系への影響に関する説明を受けていなかったとし、選定の経緯に関し「正確に知りたい」と述べた。
 南アルートは、2010年10月に国交省交通政策審議会の小委員会が長野県の諏訪盆地を経由するルートと比較した上で採択した。その後、JRが幅25キロのルート幅から絞り込んで13年9月に詳細ルートを示した。
 川勝知事はルート選定時、水資源や生態系に関する国交省やJRの説明は「皆無だった」とし、「水について問題意識を持つきっかけを持てなかった。環境影響評価に関する知事意見を出す時に資料を見て(影響について)初めて知った」と振り返った。国交省やJRに対しては「生態系や水資源への影響、命の水についての認識を調査したのか」と疑問を呈した。
 また、会見に同席した県くらし・環境部の織部康宏理事は、3月中の開催で調整してきた県有識者会議の地質構造・水資源専門部会について、JRから「トンネル湧水の全量戻しに関してしっかり説明したい。準備が間に合わない」という理由で延期の連絡があり、生物多様性専門部会だけを24日に開くと発表した。県議会2月定例会の危機管理くらし環境委員会で集中審査の開催を求めたことも明らかにした。集中審査には難波喬司副知事が出席する。

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