JRは継続対応を/予測できないこともある 国交省専門家会議・第13回議事概要【大井川とリニア】

 国土交通省はこのほど、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題を議論する専門家会議第13回会合(昨年12月19日)の議事録を公表した。中間報告案について意見交換し、最終的な取りまとめを行った。静岡新聞社は匿名の議事録と傍聴取材を元に発言内容をチェックし、実名化して概要をまとめた。

国土交通省の第13回専門家会議での発言(ポイント)
国土交通省の第13回専門家会議での発言(ポイント)


 

リスクへの対応


 徳永朋祥東京大教授「突発湧水の議論もあるし、地下のトンネル掘削では予測できないことが起こり得る。その時にはどのような対処をする必要があるか準備する観点で、リスク(減水や水質悪化の可能性)対応やモニタリング(継続的な計測)計画を評価し、確認した段階。リスク要因に対して準備や対処ができたので『全て大丈夫』ではない」

 大東憲二大同大教授「周りからの水の供給もあるので、トンネルの施工レベルまで(地下水位が)下がるかどうかは分からない。十分に観測し、生じた影響を見ながら、対策を取っていく方向性が中間報告案で示されている。シミュレーション(予測)がそのまま本当に起きると言っているわけではない」

 丸井敦尚産業技術総合研究所招聘(しょうへい)研究員「中間報告案の後半にリスク対応やモニタリングを今後十分に考えなければいけないと書いていると分かった。リスクは、流域に住んでいる人が問題視しているところが非常に大事だ。県側の(課題を整理した)47項目に対応しているかどうか」

 福岡捷二中央大教授「(47項目について)網羅的に会議で議論した。個別については恐らく今後、事務局や県と検討されると思う」

 森下祐一静岡大客員教授「(掘削による地下水の変化は)実際の地形や地質、流量を前提とした解析となるので、純粋にシミュレーション実験の性能を評価することにはならなかった」

 

懸念の解消


 沖大幹東京大教授「リスク管理に対してJR東海あるいは国も含めてなかなか緻密に考えていなかったことを検討し、良いリスク管理、モニタリングの必要性が明らかになった。(県側の)心配や懸念と常に向き合いながら、緊張感を持ってやっていく必要がある。大丈夫だと思ってもらえる努力は続けるが、それがゼロになるとは思えない」

 西村和夫東京都立大理事「モニタリングの結果をきちんと公開し、地元と意思疎通を図りながら、長い時間をかけて不安や懸念を解消するように努めなければいけないはずなので、まだ先は非常に長い。ずっと続くことで、強く認識しておかなければいけない」

 

今後の進め方


 難波喬司副知事「JRのこれまでの資料提示の仕方、経営トップの幾度もの発言によってJRへの地域の信頼は低い。その状態で説明していくので、そこが大きな課題だ」

 福岡氏「JRは中間報告の内容をよく理解し、会議の指導を踏まえてまとめた資料を基に、県をはじめとした地元の不安や懸念が払拭(ふっしょく)されるよう真摯(しんし)に継続的に対応してほしい」

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