生物多様性部会 JRの平均値試算問題視 沢ごとの減水予測提示【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題で、県は24日、上流域の動植物に関する影響を検討する生物多様性専門部会を昨年10月以来、5カ月ぶりに開いた。JR東海は影響が生じる恐れがある沢ごとの減水予測と対策を記した「沢カルテ」を新たに示した。委員側は減水予測が年間や月間の平均値で試算された点を問題視し、少雨時を前提にした対策をJRに求めた。

大井川上流域の動植物への影響に関する主なやりとり
大井川上流域の動植物への影響に関する主なやりとり

 JRが今回提示した沢カルテは五つの支流(蛇抜沢、悪沢、スリバチ沢、蛇沢、奥西河内)が対象で、静岡市が環境影響評価時にルートの回避を求めた西俣川との合流点付近など本流部は作成していない。三宅隆委員(NPO法人県自然史博物館ネットワーク副理事長)は本流の沢カルテも示すよう求め、JRは応じる意向を示した。
 減水予測に関しては板井隆彦専門部会長(静岡淡水魚研究会長)が「生物は最低の水量に合わせて生活する。一番少ない時の影響を考えないといけない」と指摘し、降水量などデータを全て開示すべきだとした。難波喬司副知事は「降水(雨)と、(水温の高い)地下水による雪解けの影響も分けて示してほしい」と注文した。
 JRは面的に地下水の状況を調べる方法「電気探査」について、西俣川との合流点付近を含めて実施する意向を初めて示した。また、トンネル内に噴き出す水を止める工法「薬液注入」を地下水位の低下を抑える対策とする一方、高い水圧では限界があるとも説明。森下祐一委員(静岡大客員教授)は「高い水圧での有効性が重要だ」とし、対応できる水圧の数値を今後説明するよう要請した。
 昨年12月に国土交通省専門家会議が中間報告をまとめた水資源に関しては、県が別の専門部会を4月に開く。

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