記者コラム「清流」 平和願う架け橋

 職場からの帰路、沼津市の狩野川に架かる御成橋が青と黄色の光に照らされていた。ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナの国旗色。市が犠牲者への哀悼と平和への祈りを込めてライトアップしている。
 御成橋の完成は1937年で、同市は太平洋戦争中に空襲を受けた。鋼鉄製の柱に残るへこみは周辺が爆撃を受けた際にできたものとされる。ゆっくりと徒歩で渡りながら、報道されている現在のウクライナと似た光景を、この橋は見てきたのかもしれないと想像した。
 「今の平和は当たり前ではない」。通勤路として日常に溶け込んでいた橋に残る爪痕が語っている。ライトアップが市民にとっても日常から戦禍へ思いをはせる“橋渡し”になるといい。
 (東部総局・山川侑哉)

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