記者コラム「清流」 歩き出すきっかけに

 浜松市南区の手芸作家、杉浦ふみさん(75)が、たんすに眠る帯をバッグにリメークする取り組みを記事にした。掲載後、杉浦さんに連絡したいと支局に電話があり、とりつないだ。しばらくして杉浦さんから「すてきな出会いがあった」と言われた。
 電話してきたのは、自宅に10年以上引きこもっていたお年寄りの女性。家族以外と話す機会がなかったが、記事を読み思い出の帯を残したいと勇気を出したという。杉浦さんがバッグにして渡すと、外出できるようになったと涙ながらに感謝されたという。
 コロナで引きこもる高齢者が増え、孤立してしまう人もいる。きっかけがあれば、人はまた足を踏み出せる。まん延防止等重点措置は解除された。社会が動きだすきっかけになってほしい。
 (磐田支局・太田達也)

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