再審法改正に注力 日弁連「実現本部」設置検討

 日本弁護士連合会は、規定が乏しく人権救済につながりにくいと長年指摘されてきた再審法の改正を目指し、小林元治会長を本部長とする「再審法改正実現本部」を設置する方向で検討している。この問題を2月の会長選で公約に掲げた小林会長は「再審法改正に向けた動きをつくっていきたい」と意気込む。
 再審法は刑事訴訟法の第4編「再審」を指す。刑訴法には500以上の条文がある中、再審に関する条文はわずか19しかない。審理の手続きについては、事実の取り調べができるとあるだけ。裁判官が主導する「職権主義」が取られているため、裁判官の積極性次第で審理の進め方に格差が生じているとも言われる。
 過去、検察官が裁判所に提出してこなかった被告人に有利な証拠が開示されることで再審開始決定や再審無罪判決の原動力となってきた。ただ、検察官に開示を課した条文はない。再審開始決定に対する検察官の上訴が禁じられていないため、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)のように、再審開始決定が出ても抗告審で取り消され、再審請求審が長期化している例もある。
 日弁連は1962年の定期総会で「再審制度改正に関する決議」を採択した。四度にわたって再審法の改正案をまとめ、2019年の人権擁護大会でも速やかな法改正を求める決議を全会一致で採択。市民運動も行われてきたが、政府や国会議員の関心は薄く、法改正の壁は高いのが実情だ。
 再審法改正実現本部は、現行の「再審法改正に関する特別部会」を昇格させる見通し。執行部の一人は「夏までに本部化を進めたい。特別部会とは人的にも予算的にも体制や動き方が変わる。日弁連全体で取り組むことになる」と説明する。
 

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