記者コラム「清流」 女性たちの漁

 漁港にうずたかく積み上げられた茶色のヒジキを、女性たちが手際よく分けていく-。沼津市の江梨地区で春の風物詩とされるヒジキ漁が行われた。
 江梨のヒジキ漁は伝統的に女性が主役。初日は12軒の女性たちが参加し、3隻の船で磯場に向かった。「取れたてのヒジキは最高の味。毎年楽しみにしている」と話すのは、半世紀前から参加するという杉山益代さん(75)。大釜にまきをくべて約5時間かけてヒジキを煮込む大変な作業にもかかわらず、皆で力を合わせ笑顔でこなしていた。
 地域では高齢化が進んでいるが、参加者の生き生きとした姿はそれを感じさせない活気があった。つながりを保ち、元気を与える“女性たちの漁”がこれからも続いていってほしい。
 

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