時論(6月15日)吉川氏は直ちに説明を

 18歳の女子学生に飲酒させ、金銭を払ったなどと週刊誌に報じられたことを受け、衆院静岡5区で落選して比例復活当選した吉川赳衆院議員が自民党を離党し、無所属になった。
 報道によると、吉川氏は東京都内の焼き肉店で18歳の女子学生と2人で飲食し、酒を飲ませた。その後はホテルに移動し、女子学生は吉川氏から4万円を受け取ったと説明している。
 事実であれば、国会議員うんぬんを差し置いても論外の行為だ。吉川氏は選挙区の自民党支部長を務めてきた責任を全うし、支えてくれた地元有権者に直ちに事実関係を説明する必要がある。県内議員の女性関係の不祥事は昨年にもあった。情けない限りだ。
 吉川氏は発覚直後、報道陣に「記事を見てから対応する」と述べるにとどめ、その後は姿を見せていない。有権者に向き合うのを避け、雲隠れしたままで、無責任極まりない。
 永田町では、与党からも吉川氏に説明責任を果たすよう要求する声が上がる。自民党の世耕弘成参院幹事長は「比例で復活した議員。当然、自民党の議席だ」と個人の獲得議席ではないと強調し、辞職を求めた。
 吉川氏は岸田文雄首相が会長を務める岸田派に所属していた。首相は参院決算委員会で、吉川氏が岸田派の「ホープ」と週刊誌に報じられた件について「何か評価するようなことはした覚えがない」とかばい立てすることなく言い切った。
 首相や自民党幹部の発言からは、22日が有力視される参院選公示まで2週間を切る中で、吉川氏を完全に切り離し、問題の幕引きを図りたいとの思惑がのぞく。だが、もはや影響は避けられないだろう。

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