浜松市 ごみ有料化検討 家計に負担、丁寧な説明を 減量意識醸成の契機に【解説・主張しずおか】

 浜松市が家庭ごみ処理の有料化を検討している。制度素案をまとめ、7月にリーフレットを全戸配布して意見を募る方針だ。ただ、市民生活に直結する問題にもかかわらず、2年前から続く議論が周知されているとは言い難い。家計の負担が増すため、根強い反対もある。市は趣旨や制度を丁寧に説明し、市民理解を得る必要がある。

浜松市の現在の家庭用指定ごみ袋。市は家庭ごみ処理の有料化を検討している
浜松市の現在の家庭用指定ごみ袋。市は家庭ごみ処理の有料化を検討している
浜松市の年間家庭ごみ排出量の推移
浜松市の年間家庭ごみ排出量の推移
浜松市の現在の家庭用指定ごみ袋。市は家庭ごみ処理の有料化を検討している
浜松市の年間家庭ごみ排出量の推移

 素案によると、対象は可燃ごみと不燃ごみ。既存の指定袋とは別に新たな指定袋を用意し、手数料を上乗せして販売する形で「有料化」を図る。袋は1リットル当たり1円の計算で料金を設定。現在1枚10円程度の45リットル入りは45円に値上がりする。
 有料化の背景には、ごみ減量が進まない現状がある。2021年度の家庭ごみ排出量は14万3215トンで、ここ数年は横ばいが続く。18~20年度に「ごみ減量天下取り大作戦」と銘打った事業を展開したが、減量効果は出なかった。
 このため、市は20年7月に市環境審議会に有料化について諮問。審議会は翌21年10月、「有料化がごみ減量に有効」などと答申し、市は具体的検討に入った。
 家庭ごみの有料化は全国自治体の65%以上が導入し、県内でも18市町が実施済み。浜松と同様に指定袋を導入し、さらに有料化にかじを切った同規模自治体では導入翌年に7~18%程度の減量効果が見られ、その後も減量が進んだという。
 有料化の最大の目的は分別の推進にある。分別が進めば、排出量が減り、指定袋購入費の負担も抑えられる。現状は、可燃ごみに紙袋や菓子箱などの雑がみ、きれいなプラスチック製容器など再利用できる資源物が19・5%も混入している。市民の意識改革が不可欠だろう。
 有料化に対し、市民団体が2回にわたり公開質問状を提出した。13日の市議会常任委員会でも賛否の意見が相次いだ。理解の浸透には遠い。市はリーフレットに加え、46カ所での説明会を予定する。若者や無関心層にも伝わるよう、SNS(交流サイト)などもフル活用し、幅広く説明してほしい。同時に、ごみ減量施策の強化を図り、減量への強い意志を示すべきだ。
 少子化に伴って税収減が予想される中、ごみ処理施設を維持し、安定的に処理を続けるには、ごみ減量が不可避の課題だ。循環型社会を構築し、将来の負担を軽減するため、有料化議論を契機に市民一人一人が減量について真剣に考えたい。
 

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