基礎自治体の自立重要 21世紀倶楽部 浜松市長が講演

 鈴木康友浜松市長は29日、同市中区のプレスタワーで開かれた静岡新聞社・静岡放送21世紀倶楽部の記念講演会で「日本をもう一度成長軌道に乗せて国際競争に勝つためには、市や町など基礎自治体の自立が非常に大事。中央集権型の統治構造の改革に取り組みたい」と述べ、都道府県から自立した特別自治市や道州制への思いの一端を披露した。

記念講演をする鈴木康友浜松市長=29日午後、浜松市中区のプレスタワー
記念講演をする鈴木康友浜松市長=29日午後、浜松市中区のプレスタワー

 鈴木市長は国政と地方自治の関係について、鉄道事業を分割民営化し、優良企業として再生した旧国鉄を例示しながら「日本を適正規模に分割し、地域に合わせた成長戦略を描き、それぞれの地域が努力することで日本全体が底上げされる」との持論を説明。その上で「基礎自治体が自立することで府県の役割がなくなり、道州制へ移行できる。突破口として特別自治市制度の法制化を目指したい」との認識を示した。
 同市が過疎地域や膨大なインフラを抱えながらも全国トップ水準の財政健全化を成し遂げた経験を踏まえ「人口50万人程度の規模があれば、自立した都市経営は十分可能」と強調。自立した基礎自治体を増やし、持続可能な地域社会の実現を図る重要性を説いた。
 地球環境や社会システムだけでなく、自治体経営でもサステナブル(持続可能)を目指す必要性に触れ、行政区再編などの行財政改革や、デジタル・スマートシティ、スタートアップ事業の取り組みを紹介。「デジタル時代の自治体は従来の役所の殻を打ち破り、経営感覚を発揮して持続可能な社会構造をつくるべき」と述べた。

 ■会員交流の場再開 21世紀倶楽部総会
 静岡県西部の経済人らが集う静岡新聞社・静岡放送21世紀倶楽部は29日、本年度の総会と記念講演会を浜松市中区のプレスタワーで開いた。事業計画として新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断が続いていた会員交流の場を再開するとともに、各界の講師を迎える月例セミナーを充実させることなどを確認した。
 同倶楽部代表を務める静岡新聞社・静岡放送の大須賀紳晃社長は、2021年度の活動を振り返った上で「セミナーは講師陣を充実し、満足していただける内容にする。懇親会開催などで会員交流の活発化を図りたい」と述べた。
 記念講演会では鈴木康友浜松市長が「サステナブルな自治体経営」と題し、特別自治市の実現など統治機構改革の構想や、デジタル技術を活用した同市の地域課題解決の取り組みを紹介した。

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