誰でもピアノ、拝殿に常設 浜松・高塚熊野神社「癒やしの場に」

 音楽のまち・浜松の振興に向けて、浜松市南区の高塚熊野神社が誰でも自由に弾くことができる「ストリートピアノ」を拝殿に設置した。幼稚園などを運営する寺院にピアノが置かれることはあるが、神社の常設は珍しいという。戸塚昌宏宮司(58)は厳かな雰囲気の中で流れる美しい音色に「自由にピアノを弾くことで心が安らぎ、癒やしの場になれば」と願いを語る。

拝殿に常設されたヤマハのピアノ。戸塚昌宏宮司(右)は「少しでも心が安らぐ場所になれば」と期待を込める=6月25日、浜松市南区の高塚熊野神社
拝殿に常設されたヤマハのピアノ。戸塚昌宏宮司(右)は「少しでも心が安らぐ場所になれば」と期待を込める=6月25日、浜松市南区の高塚熊野神社

 中学から大学まで吹奏楽に熱中し、社会人でも合唱に打ち込んだ戸塚宮司。音大を卒業した妻と次男が指導者として活動していることもあり、音楽との関わりは深い。
 ピアノ設置について「自分の思いや感情を表現する手段は言葉や文字、絵などがあり、音楽もその一つ。演奏したい時に近くに楽器がある環境をつくりたかった」と振り返る。
 ピアノは同市に本社を置くヤマハ製のアップライトピアノで、閉園した市内幼稚園から寄贈を受けた。神前に置くため、設置時にはおはらいも行った。拝殿は天井が高く、音がよく響く。神社のSNS(交流サイト)で紹介すると、早速市民が訪れて童謡から本格的なクラシックまで、思い思いに多彩な曲目を奏でているという。
 神社は延久年間(1069~74年)に創建されたと伝わり、6月上旬には「御鎮座950年祭」を行った。新型コロナの影響で直接の交流機会が減り、心が不安定になる人も増えている。戸塚宮司は「神社の社(やしろ)をコミュニティーの場として使ってほしい。人と人とが交流し、何度でも足を運びたくなる神社にしたい」と話す。
 祭典や祈祷(きとう)時を除き、開門中の午前9時から午後4時に演奏できる。

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