「これからも良質な企画展を」 浜松市美術館、CF協力呼び掛け

 浜松市中区の市美術館が企画展の運営費をインターネットで募る「クラウドファンディング」(CF)に乗り出す。コロナ禍で来館者が減少し、厳しい収支状況が続く中、質の高い展示を継続しようと計画した。目標額は300万円。20日から開始する。民間の美術館が所蔵品の維持費などをCFで募る動きはあるが、県内公立美術館では珍しいという。

クラウドファンディングへの協力を呼び掛けるポスター=浜松市中区の市美術館
クラウドファンディングへの協力を呼び掛けるポスター=浜松市中区の市美術館


 人気アニメ「アルプスの少女ハイジ」をテーマにした企画展を9月11日まで開催中の同美術館。原作をモデルにした絵画や資料など約500点が並ぶ。オリジナルの企画展で、他では見ることができない展示が好評だ。
 本年度は同展と、既に開催した同市出身木版画家の遠藤美香さんの企画展、重要文化財の刀などを集めた「名刀 泰平を切り開く」(10月15日~12月4日)の3本を計画。CFで募った寄付はこれらの事業費に充てる。
 同美術館の21年度の来館者は8万7476人。前年度からは2万人以上回復したが、コロナ禍前の19年度(17万4622人)の半数にとどまった。事業費捻出も厳しくなり、新たな資金調達手段を模索していた。
 CFは金額に応じた10種のコースを設け、返礼品として展覧会や同美術館の図録、招待券なども用意した。ふるさと納税の対象で、実質負担額は2千円。CFサイト「レディーフォー」を活用する。
 県内外のファンと結び付いて、同美術館をアピールする狙いもある。学芸員の児玉実佳さんは「今までと同規模で、質の高い企画展を続けたい。珍しいもの、良いものを届けるために応援してほしい」と呼び掛ける。
 (浜松総局・宮崎浩一)

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