幻の「敷地音頭」復活 作詞家うめたさんら普及活動 磐田

 磐田市の敷地地区で旧敷地村時代に制作され、親しまれていた「敷地音頭」。浜松市東区の作詞家でシンガーのうめたちあきさん(53)=本名・埋田千聡=がそのCDを制作し、地元住民らと共に次世代につなごうと普及活動に努めている。

敷地音頭の振り付け指導を行ううめたさん=磐田市敷地の豊岡東交流センター
敷地音頭の振り付け指導を行ううめたさん=磐田市敷地の豊岡東交流センター

 敷地村の資料や地元住民らによると、敷地音頭ができたのは昭和28、29(1953、54)年ごろとみられる。当時の豊田中(現磐田市立豊田中)の教諭らが、村を訪れて世話になった礼に作ったとされる。歌詞に村の産業や文化に関する言葉がちりばめられていて、地元の祭りや運動会で踊られた。
 しかし、曲を知る人が減った上、音源が残っていなかったため、長い間、幻の曲となっていた。今春、住民有志が交流のあったうめたさんに声をかけ、うめたさんが地元に残っていた楽譜を基に曲をよみがえらせた。うめたさんの音楽ユニットのメンバーが振り付けを創作した。
 今月13日には、うめたさんが同市の豊岡東交流センターで住民らに振り付けを指導した。15人が輪になって両手で円を描いたり、伸ばした腕に反対側の腕を曲げて手を置いたりする踊りを教わった。
 住民有志の一人、鈴木隆典さん(78)は「このまま音頭が消えてしまうのはさびしい。将来に残したいと思った」と話した。うめたさんは「歌詞には先人の思いが込められている。敷地の地域活性にもつながればうれしい」と力を込めた。
 21日午前10時からと午後1時からの2回、同市の敷地里山公園でうめたさんがコンサートを開き、敷地音頭を披露する。
 (磐田支局・太田達也)

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