防災教育 静大と慶大が連携 法人設立、学生主体に運営

 静岡大の藤井基貴准教授(教育学)の研究室が29日、慶応大の大木聖子准教授(地震学)の研究室と連携し、学生が主体となって防災教育に取り組む一般社団法人「ボウサイ・エデュラボ」を設立する。防災授業などのノウハウを共有し、防災活動に貢献できる人材の育成を図る。藤井准教授は「異なる大学の研究室が協力した防災教育団体は全国的に珍しい」とみる。

防災教育の一般社団法人「ボウサイ・エデュラボ」を設立した藤井基貴准教授(左)と上田啓瑚代表理事(右)ら=6月、静岡大の静岡キャンパス
防災教育の一般社団法人「ボウサイ・エデュラボ」を設立した藤井基貴准教授(左)と上田啓瑚代表理事(右)ら=6月、静岡大の静岡キャンパス

 両研究室が県内、首都圏でそれぞれ行ってきた防災普及活動や調査研究を学生が継承する。学校や企業への出前授業や、研究室で開発した防災教材の提供、防災訓練の改善指導などを担う。
 法人化することで、防災教育の需要増加に対応するほか、一般への防災研究の普及拡大が期待される。
 今後、防災専門の指導者の不足を補うため、全国の教員養成課程の学生や教員を対象に、教育学と地震学両分野の視点を生かした教材開発も進めるという。
 藤井准教授は浜松市などで高校生を対象に地域防災の担い手「防災アンバサダー」を育成するプログラムの運営や、災害時の状況判断力を養う授業「防災道徳」の教材開発に当たってきた。首都圏を中心に防災科学コミュニケーションの研究を行う大木准教授らとタッグを組むことで、予想される南海トラフ巨大地震や首都直下地震、富士山の噴火などに対応した災害に強い社会の実現を目指す。
 ボウサイ・エデュラボの代表理事を務める上田啓瑚さん(23)は静大卒業生で、慶応大の大学院生。防災教育に地域差がある現状を踏まえ、将来に向けて「学校防災を可視化するシステムを作り、地域防災の発展に貢献したい」と抱負を語る。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞