浜松伝統「30分間回泳」を知っていますか? 「子どもが大変そう」という投稿を受け現地へ㊦【NEXT特捜隊】

 小学生が大きなプールでひたすら泳ぎ続けることに挑戦する浜松の伝統行事「30分間回泳」。浜松市西区に住む女性(40代)から「子どもが大変そう」と不安の声が届き、静岡新聞社「NEXT特捜隊」は現地取材を重ねた。行事の運営主体である「浜松市小学校体育連合(小体連)」の中村孝夫会長=写真=(市立可美小学校校長)に、投稿者の率直な疑問を代わりに投げ掛けた。

Q水難事故から身を守るのが目的ならば、着衣水泳を行ったらどうでしょうか?

 服を着たまま浮いて助けを待つ「着衣水泳」の練習は確かに有意義です。学習指導要領にも着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方について「安全確保につながる運動との関連を図り、各学校の実態に応じて積極的に取り扱うこと」とされています。
 ただ、衣服の繊維がプールに浮くなど、衛生面や安全面の管理に課題があるとともに学校規模の違いもあり、全市的に一律で実施するのは難しい面があるのが実情です。プール納め前に実施するなど、各校で工夫しながら取り組んでいます。

Q梅雨時期は水泳の授業が中止になることも多いです。練習時間を確保するために夏休み明けの開催にできませんか?

 夏休み期間にプールで練習する機会がある児童もいれば、そうでない児童もいます。7月実施の方が、より平等に水泳の授業の成果が発揮しやすいと考えます。
 その他にも、夏休み期間のプールの管理や、授業時間数の確保などさまざまな課題もあります。

Q全員一律に30分とせず、5分、10分と個別に目標を立てるのが良いと思います。

 体育科の指導を長年してきて、水泳学習の初めの時点で完泳できる泳力のある子は、クラスで数名程度のことが多いと感じています。
 ほとんどの児童は授業で基本を身に着け、ゆっくりと長く泳ぐ練習をすることで30分泳げるようになります。3分泳げる児童は、30分間泳ぐことができるケースがほとんどです。
 小学校では低学年で水に慣れ親しみ、中学年以降で水泳の基本を習得します。その中で、一つずつステップを踏むことが何より大切です。
 私も50年近く前、5年生で挑戦しました。その年は合格できませんでしたが、6年生で再挑戦して合格しました。みなさんも一つずつ自分なりの目標をクリアして、ぜひ30分間回泳にチャレンジしてみてほしいです。

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