競泳 杉山(飛龍)圧巻の逆転劇/板飛び込み 伊熊V、次元の違い 全国高校総体・静岡県勢

 四国で開催されている全国高校総合体育大会(インターハイ)は18日、競泳と飛び込み、空手が行われた。男子400メートル個人メドレーの杉山大晟(飛龍)は終盤に逆転して4分20秒85の自己ベストで頂点に立った。男子板飛び込みでは伊熊扇李(兵庫・相生学院、浜松学院中出)が2位に大差をつけて連覇を果たし、柳沼凌士(浜松開誠館)も6位に入った。空手の女子個人形では江藤凪沙(御殿場西)が3位決定戦を制して表彰台に上がった。

男子400メートル個人メドレー レース終盤で追い上げ、逆転で優勝した飛龍の杉山大晟=高知市東部総合運動場くろしおアリーナ(写真部・田中秀樹)
男子400メートル個人メドレー レース終盤で追い上げ、逆転で優勝した飛龍の杉山大晟=高知市東部総合運動場くろしおアリーナ(写真部・田中秀樹)
男子板飛び込み 2位以下を大きく引き離す662・00点で連覇した浜松学院中出の伊熊扇李=高知県立春野総合運動公園水泳場
男子板飛び込み 2位以下を大きく引き離す662・00点で連覇した浜松学院中出の伊熊扇李=高知県立春野総合運動公園水泳場
男子板飛び込み 自由選択で高得点を挙げ6位入賞した浜松開誠館の柳沼凌士=高知県立春野総合運動公園水泳場
男子板飛び込み 自由選択で高得点を挙げ6位入賞した浜松開誠館の柳沼凌士=高知県立春野総合運動公園水泳場
(左)男子3メートル飛板飛込で優勝した浜松学院中出の伊熊扇李/(右)男子400メートル個人メドレーで優勝した飛龍の杉山大晟=ともに18日午後(写真部・田中秀樹)
(左)男子3メートル飛板飛込で優勝した浜松学院中出の伊熊扇李/(右)男子400メートル個人メドレーで優勝した飛龍の杉山大晟=ともに18日午後(写真部・田中秀樹)
男子400メートル個人メドレー レース終盤で追い上げ、逆転で優勝した飛龍の杉山大晟=高知市東部総合運動場くろしおアリーナ(写真部・田中秀樹)
男子板飛び込み 2位以下を大きく引き離す662・00点で連覇した浜松学院中出の伊熊扇李=高知県立春野総合運動公園水泳場
男子板飛び込み 自由選択で高得点を挙げ6位入賞した浜松開誠館の柳沼凌士=高知県立春野総合運動公園水泳場
(左)男子3メートル飛板飛込で優勝した浜松学院中出の伊熊扇李/(右)男子400メートル個人メドレーで優勝した飛龍の杉山大晟=ともに18日午後(写真部・田中秀樹)


男子400個メド 恩師に感謝のスパート

 圧巻の逆転劇だった。男子400メートル個人メドレーで飛龍の杉山は自由形の最後50メートルでスパートし、自己ベストで優勝をさらった。「会心のレースができた。自己採点は120点」。表彰台の中央に上がり、満面の笑みを浮かべた。
 最初のバタフライは2位だったが、苦手の背泳ぎで3位に落ちた。「横目でリードされてるのは分かっていたが、平泳ぎの調子がいいのでまだ行けると思った」。優勝争いに踏みとどまったが、自由形の50メートル折り返し時点ではまだ3位だった。
 「恩師に感謝の気持ちを伝えたい。最後はそれだけを思って泳いだ」。土壇場で力を与えたのは、細川量也顧問。体調不良で高知入りできなかったが、杉山はレース直前に更衣室から電話をかけ、「とにかく楽しめ」とアドバイスをもらっていた。
 恩返しを期してギアを全開にすると、ラストの競り合いを0・63秒差で制してトップでゴール。電光掲示板で優勝を確認すると、応援席に向けてガッツポーズが飛び出した。
 飛龍では週に一回、100メートル15本を3セット泳ぐ伝統の練習方法に取り組み、地力を伸ばした。「細川先生をはじめ、いい指導者に恵まれた。大学でも水泳を続け、五輪を目指したい」。大きな自信を得て次の目標に向け意欲をさらに高めた。


男子板飛び込み 伊熊、けが乗り越え頂点

 けがを乗り越え、次元の違いを見せつけた。男子板飛び込みを連覇した浜松学院中出の伊熊。「自分がトップだと自覚を持って臨んだ。連覇は当然」。競技終了後、成績を発表するアナウンスの中で最終演技の技をもう一度、練習した。
 高校から兵庫県に“留学”して1人暮らしする中で、2年前に入水の衝撃で右腕筋断裂の大けがを負った後、腰と左足の甲を続けて傷めた。けがから復帰しても練習本数は限られ、1本ずつ大切に修正点を意識し、自分の演技を見つめ直した。
 持ち味は跳躍の高さと演技の大胆さ。決勝は前半の制限選択で得点を伸ばしたが、後半の自由選択では細かいミスが出た。最後のひねり飛び込みはわずかに回転が足りず入水が乱れ、「上の演技が悪くても入水を決めきらないと」と反省した。
 元飛び込み選手でプールサイドから見守った父の豊和さん(52)は「体つきが変わりたくましくなった」と息子の成長を認めつつ、「上を目指すには確実性を上げないと」と課題を指摘する。
 2月に浜松市で行われた大会の男子シンクロ板飛び込みで東京五輪出場ペアを破って優勝するなど、世界を目指している。「五輪出場が目標。パリ大会はもちろん、その先のロサンゼルス大会を見据え、技の難度をさらに上げたい」と決意を新たにした。


開誠館の柳沼6位

 男子板飛び込みで浜松開誠館の柳沼が6位入賞を果たし、「気持ちの切り替えがうまくできた」と納得の笑みを浮かべた。
 決勝前半の制限選択はミスが目立ち、12人中11位と出遅れた。自由選択が始まる前の休憩で水風呂に入り、リフレッシュさせて演技に臨んだのが功を奏した。
 得意の前逆抱え込みで高得点を出すなど、自由選択は全体で3位の得点を挙げ、最終順位で6位に食い込んだ。
 大学でも競技を続けるつもりで、「全国大会で次はメダルを目指したい」と力強く誓った。


■競泳
 【男子】
 ▽100メートル自由形決勝 ①松井理宇(東京・日大豊山)50秒15②光永(東京・日大豊山)50秒36③重藤(大阪・四條畷学園)50秒78
 ▽400メートル個人メドレー決勝 ①杉山大晟(飛龍)4分20秒85②飯田(東京・八王子学園八王子)4分21秒48③木村瞬(大阪・桃山学院)4分22秒16
 ▽400メートルメドレーリレー決勝 ①日大豊山(東京=錦織、稲沢、光永、松井)3分41秒71②太成学院大高(大阪)3分42秒91③豊川(愛知)3分44秒37
 ▽男子学校対抗得点 ①日大豊山(東京)246②中京大中京(愛知)224・5③太成学院大高(大阪)157
 【女子】
 ▽100メートル自由形決勝 ①吉井萌萌花(大阪・近大付)56秒01②兼松(神奈川・日大藤沢)56秒27③溝口(神奈川・日大藤沢)56秒35
 ▽400メートル個人メドレー決勝 ①野井珠稀(神奈川・湘南工大付)4分44秒17②松崎(東京・日大二)4分45秒04③井坂(東京・学習院女)4分49秒18
 ▽400メートルメドレーリレー決勝 ①日大藤沢(神奈川=戸津川、中沢、山本、兼松)4分8秒97②近大付(大阪)4分10秒06③四條畷学園(大阪)4分10秒39
 ▽女子学校対抗得点 ①日大藤沢(神奈川)280②豊川(愛知)256③近大付(大阪)159
 静岡県勢の予選、順位戦成績
 【男子】
 ▽100メートル自由形予選 ⑨増田莉蔵(浜松市立)51秒53=9~16位決定戦へ(38)内村駿斗(飛龍)53秒27=落選
 ▽同9~16位決定戦 ⑪増田莉蔵(浜松市立)51秒68
 ▽400メートル個人メドレー予選 ⑦杉山大晟(飛龍)4分25秒68=決勝進出(21)北本悠介(飛龍)4分31秒10(34)久米蒼真(飛龍)4分34秒41=以上落選
 ▽400メートルメドレーリレー予選 ⑬飛龍(奥、小沢、杉山、内村)3分51秒36(36)浜松商(岡田、進士、宮崎、鈴木)3分56秒15=以上落選、浜松市立(増田修、西丸、岡田、鮎沢)=失格
 【女子】
 ▽100メートル自由形予選 ⑯鈴木月渚(飛龍)58秒07=9~16位決定戦へ⑰磯江月希乃(星陵)58秒11=落選
 ▽同9~16位決定戦 ⑯鈴木月渚(飛龍)58秒24
 ▽400メートルメドレーリレー予選 (22)日大三島(中島、田中、内藤、礒松)4分22秒17(31)磐田農(飯田、伊藤麻、大沢、豊田)4分24秒80(32)静岡商(中山、田中、高橋、白井)4分25秒04(36)城南静岡(兵藤、柴本、高部、高)4分26秒22=以上落選

■飛び込み
 【男子】
 ▽板飛び込み決勝 ①伊熊扇李(兵庫・相生学院)662・00点②二羽(石川・小松大谷)623・05点③浅田(石川・小松大谷)526・35点⑥柳沼凌士(浜松開誠館)497・75点
 静岡県代表の予選成績
 【男子】
 ▽板飛び込み予選 ⑫柳沼凌士(浜松開誠館)248・75点=決勝進出⑯内藤栄将(富士市立)205・45点=落選

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