首相指示 園児ら送迎バス1万カ所点検へ 安全管理マニュアル整備も 牧之原園児死亡

 牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」で女児(3)が送迎バス内に置き去りにされ死亡した事件を受け、岸田文雄首相は9日、小倉将信子ども政策担当相に全国で安全管理の一斉点検をするよう指示した。送迎バスを保有する保育所と幼稚園、認定こども園など約1万カ所が対象となる。
 乗降時の子どもの人数の確認や、降車した子どもと当日の出席状況の突き合わせなど、安全管理徹底事項が順守されているかを各施設が調べ、自治体を通じて報告する。今月中に全施設の点検結果をまとめる。自治体による実地調査も年内をめどに行う。
 内閣府、文部科学省、厚生労働省など関係府省の初会合も同日夕に開かれた。有識者らの意見も踏まえ、バス送迎時の安全管理マニュアルの整備など再発防止に向けた緊急対応策を10月中に取りまとめる方針を決めた。バスに設置する安全装置の導入支援も検討するほか、園児の登園状況を記録、管理するシステムの普及を図る。バス内に取り残されるなど万が一の事態に備え、子ども自身がSOSを発信できるような態勢も考える。
 国がこのようなマニュアルを策定するのは初めて。昨年7月に福岡県でも同様の事件が発生したため、事態を重く受け止めた。小倉氏は会合で「2度同じ事故が起きてしまったので、3度目はあってはならない。政府として、できることは何でもやる覚悟とスピード感を持って検討を進めたい」と述べた。
 立憲民主党も9日、再発防止策に関するヒアリングを国会内で行い、子どもの置き去りを防ぐ安全装置の設置義務化や職員態勢強化を関係府省に求めた。

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