市役所業務にDX 浜松市が推進 下水道事業、眼鏡型端末で実験

 先端技術を活用して持続可能な都市づくりを目指す浜松市が、市役所業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)について積極的に検討を進めている。8月末までの約2カ月半、下水道事業におけるDXの研究を目的に眼鏡型端末「スマートグラス」を使った珍しい実証実験を行った。民間の力を取り入れながら業務の効率化や高度化、生産性の向上につなげる。

スマートグラスのカメラを通じてリアルタイムで映し出される映像=8月下旬、浜松市中区の市中部浄化センター
スマートグラスのカメラを通じてリアルタイムで映し出される映像=8月下旬、浜松市中区の市中部浄化センター
下水道事業のDXに向けてスマートグラスを活用した実証実験に取り組む作業員業のDXに向けてスマートグラスを活用した実証実験に取り組む作業員
下水道事業のDXに向けてスマートグラスを活用した実証実験に取り組む作業員業のDXに向けてスマートグラスを活用した実証実験に取り組む作業員
スマートグラスのカメラを通じてリアルタイムで映し出される映像=8月下旬、浜松市中区の市中部浄化センター
下水道事業のDXに向けてスマートグラスを活用した実証実験に取り組む作業員業のDXに向けてスマートグラスを活用した実証実験に取り組む作業員

 8月下旬、同市中区の中部浄化センター。眼鏡型端末を身につけた作業員が、下水処理場の汚泥脱水設備地下室で送水ポンプの切り替え作業に当たった。端末に搭載された小型カメラの映像は2階の中央操作室にリアルタイムで送信。ベテラン作業員がモニターを見ながら指示を伝えた。
 端末はグラスのスクリーンにマニュアルなどの映像を投影できる上、通話も可能。市下水道施設課の担当者は「設備を熟知したベテランが現場映像を見て指示することで、経験の浅い作業員をサポートし、ダブルチェックもできる。トラブルの際も役立つのでは」と手応えを語る。
 実証実験は情報処理サービス「電算システム」(岐阜県)の依頼で6月中旬に着手し、利点や課題などを精査している。実際の導入は未定だが、市はDXの参考にする。
 人口減に伴って職員数や税収の減少が見込まれる中、市役所業務のDXは喫緊の課題。本年度は7月にデジタル・スマートシティ推進事業本部を推進部に再編して機能を強化した。このほか、窓口で書類記入の手間を省き、市民と職員の負担軽減を図る「書かない窓口」を導入し、サービスと業務の生産性の向上などを狙って市DX推進計画も策定する予定だ。
 市デジタル・スマートシティ推進課の瀧本陽一課長は「行政と民間が連携してデジタル技術で課題解決を図ることは、自治体運営の生産性向上だけでなく、民間にとってもビジネスチャンスにつながる。好循環を生み出したい」と強調した。

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