高齢者施設の水不足深刻 沢水利用も風呂・洗濯できず 静岡市清水区の断水

 台風15号による静岡市清水区の断水の影響で、高齢者が入居する施設での水不足が深刻となっている。数十人規模で共同生活する、足腰の弱い高齢者自身が生涯学習交流館などの給水車の列に並ぶことは困難な状況。市の対応は遅れ、施設によっては山間部の沢水をタンクでくみ、トイレなどの水に利用している。被災以来、風呂に入れない施設がほとんどとみられる。

バケツの水を使って施設利用者のトイレを流す職員=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
バケツの水を使って施設利用者のトイレを流す職員=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
ペットボトルの水で歯を磨く施設利用者=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
ペットボトルの水で歯を磨く施設利用者=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
山の湧き水をためておくタンク。トイレを流す水などに使用している=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
山の湧き水をためておくタンク。トイレを流す水などに使用している=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
バケツの水を使って施設利用者のトイレを流す職員=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
ペットボトルの水で歯を磨く施設利用者=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津
山の湧き水をためておくタンク。トイレを流す水などに使用している=26日午前、静岡市清水区のサザンクロス興津

 興津川下流にほど近い同区興津中町の住宅型有料老人ホームサザンクロス興津。茶工場から不要になった1200リットル入り巨大ポリタンクを譲り受け、職員がワゴン車で往復1時間、給水に2時間かけて山間部の沢水をくんで対応している。
 運営会社代表の若林里紗さん(45)によると、昼間の職員数は7人程度。皿を洗う水を節約するため、皿にビニール袋をかぶせて配膳し、袋だけを使い捨てしている。若林さんは「ポリタンクがなければトイレの水も流せなかった」と話す。
 洗面台から水が出ないため歯磨きやうがいは、職員が島田市の小売店で調達したペットボトル入りのミネラルウオーターでしのいでいる状況だ。
 区内のこうした高齢者施設はそれぞれが生活用水や飲料水の確保のため独自の方策でしのいでいるのが実情。他地域の同じグループの施設から水を融通してもらえるケースもあるが、そればかりではない。
 巴川沿いにあり周囲が浸水被害を受けた同区押切で住宅型有料老人ホーム3棟(入居者50人)を運営するクオリティでは、26日午前時点で、事務棟の水道水が使えるため、職員が断水している老人ホーム棟に運び込んで対応している。
 ただ配膳や介護など通常の仕事もあり、職員の疲労も限界に近い。担当者は「断水地域が広がれば事務棟の水道水も枯れる。われわれはどうしたらいいのか…」と困惑した表情を浮かべた。
 特別養護老人ホームなどを所管する静岡市高齢者福祉課の大畑綾子課長は「週末に施設に対する聞き取りを終えていて、対応を検討している」とした。

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