記者コラム「清流」 平和な花火

 画家の山下清の生誕100周年を記念する展覧会が10月2日まで、掛川市二の丸美術館で開かれている。展示以外の作品も調べると代表作「長岡の花火」と彼が残した言葉が印象に残った。「みんなが爆弾なんかつくらないできれいな花火ばかりつくっていたらきっと戦争なんて起きなかったんだな」。素朴な語り口調でも、戦時下を生きた彼の平和への強い思いを感じた。
 ロシアがウクライナに軍事侵攻してから7カ月。浜松市に避難した女性を取り上げたニュースでは、花火の音を聞くと攻撃を思い出し恐怖を感じると報じていた。今を生きる日本人が夏の風物詩を楽しめるのは平和であるからだと気づかされる。避難後も彼女の心に陰を落とし、長く苦しめる非情な戦争はいつ終わるのだろうか。

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