記者コラム「清流」 胸にひっかかる言葉

 9月末、静岡市葵区呉服町の雑居ビル火災で死亡した男性消防士の消防葬が営まれた。火災発生から2カ月がたとうとしているが、どうしても胸に引っかかって忘れられない言葉がある。
 「活動に問題はなかった」。火災から一夜明けた8月14日の記者会見。市消防局の担当者が口にした言葉に、耳を疑った。男性消防士所属の駿河特別高度救助隊は隊員同士を結ぶロープを付けていなかった。火元情報を関係者から聞き取っていたが、先行隊は方向の異なる部屋を捜索していた。何より殉職者を出している。何を根拠に「問題なし」と言い切るのか。
 同局は事故調査委員会の報告書を2023年1月末までにまとめると発表した。徹底的な原因究明と再発防止に向けた対策を強く求めたい。

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