家康の経済、近世へ導く 徳川みらい学会 歴史学者ら討論

 徳川時代の歴史的意義を研究、発信する「徳川みらい学会」は15日、本年度の第4回講演会「10thシンポジウム」(静岡商工会議所共催)を静岡市葵区の市民文化会館で開いた。歴史学者らによるパネル討論を行い、「泰平の世に導いた徳川家康」をテーマに意見を交わした。

徳川家康の功績をテーマに意見交換したパネルディスカッション=静岡市葵区の市民文化会館
徳川家康の功績をテーマに意見交換したパネルディスカッション=静岡市葵区の市民文化会館

 ともに静岡大名誉教授の小和田哲男さんと本多隆成さん、静岡文化芸術大前学長の熊倉功夫さんの3人が登壇した。
 本多さんは家康の多岐にわたる経済政策の中で、1589~90年に本県などで行った検地「領国総検地」に注目した。「太閤(たいこう)検地と遜色ない内容。近世的な(領地支配)態勢へと大きく転換するきっかけになった」と強調した。
 小和田さんは、家康が戦国時代に終止符を打ったことで国内の人口が戦国時代末期から江戸時代中期にかけて倍増したと指摘した。熊倉さんは徳川15代将軍の中で「ひげを生やしていたのは家康だけ」とし、「文化が平準化され、個人の主張が忌避される時代になった」と独自の視点で分析した。
 同学会の活動が10年目を迎えたことを記念したシンポジウムで、市民ら約200人が聴いた。パネル討論に先立ち、小和田さんが基調講演した。

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