下り坂 フットブレーキ頼りすぎ危険 基本は「低ギア低速」で

 13日に観光バスが横転し乗客の女性1人が死亡、26人が重軽傷を負った事故現場、小山町の静岡県道「通称ふじあざみライン」は急勾配でカーブが続く難路。バスは下り坂のカーブを曲がりきれず、左側ののり面に乗り上げて横転した。専門家は「下り坂の運転は、フットブレーキに頼りすぎると危険」と警鐘を鳴らす。

ふじあざみラインにはブレーキの過熱に注意を呼びかける看板がある
ふじあざみラインにはブレーキの過熱に注意を呼びかける看板がある
比較的長い下り坂の後に大きくカーブする事故現場は「難所」とされる=19日、小山町須走のふじあざみライン
比較的長い下り坂の後に大きくカーブする事故現場は「難所」とされる=19日、小山町須走のふじあざみライン
ふじあざみラインにはブレーキの過熱に注意を呼びかける看板がある
比較的長い下り坂の後に大きくカーブする事故現場は「難所」とされる=19日、小山町須走のふじあざみライン

 富士山須走口5合目と東富士五湖道路の須走インターチェンジ付近を結ぶふじあざみラインは全長約12キロ、高低差は1160メートル。平均勾配は約10%、最大勾配は22%に及ぶ。御殿場署によると、直近10年に今回を含めて8件の人身事故が発生した。
 比較的長い下り坂の後に大きくカーブする事故現場は「最大の難所」(地元のタクシー運転手)。下り坂で加速しすぎて曲がりきれないケースや、「フェード現象」などフットブレーキを多用してブレーキ機能が低下する現象が起きやすいとされる。
 県警で長年、交通捜査や交通安全啓発を担った古庄自動車学校(静岡市葵区)の松本成立校長(60)は、下り坂でフットブレーキが利かなくなると他のブレーキで減速するのは難しいと指摘。「あらかじめ低いギアを使い、スピードを出しすぎないように」と訴える。観光バスなどの大型車は主にエンジンブレーキで減速し、フットブレーキや排気ブレーキなどを補助的に使うのが基本だという。
 フットブレーキを使いすぎて利かなくなる現象は乗用車にも起きると説く。フットブレーキの効果の弱まりや焦げた臭いといった異変を感じたら車を止め、ブレーキの熱を冷ますなどの対処が必要だと強調する。

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