記者コラム「清流」 繰り返してはいけない

 牧之原市の園児が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件を受け、9月末に松崎町の幼稚園で園児がバス内で助けを求める訓練があった。窓が閉まっていてもクラクション音が聞こえることが分かった一方、ハンドルに手が届かず音を出せない園児もいた。
 最終手段として子どもがSOSのサインを出せるような備えは重要だ。防災訓練のように定期的に実施してもいいかもしれない。しかし、万が一の状況をつくらないのが大人の責任ではないか。
 安全装置設置の議論は続いているが、人の目も優れた「安全装置」だ。同園ではマニュアルをまとめ直し、同乗する職員の乗降確認に加え園到着時に別の職員が再確認する体制になった。悲劇を繰り返さないよう、いま一度手順を振り返る必要がある。
 (松崎支局・太田達也)

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