記者コラム「清流」 モノは言いよう

 昨年の熱海土石流に続き、今年9月の台風15号でも捨てられた土砂(残土)の山が各地で崩落した。崩落したのは「盛り土」とよく言われるが、盛り土は宅地造成などを前提に斜面を平らにする開発を指す。実態は造成目的ではなく、処分された「捨て土」だった。急斜面への「捨て土」は土砂災害を招きかねず規制が厳しい。行政は「盛り土」という言葉で問題の本質をゆがめていないだろうか。
 台風では静岡市清水区で断水も問題になった。解消時期は当初、市の担当者が「10月初旬」と説明する一方で、田辺信宏市長は「(取水口に)重機が入れば4日程度で何とかできる。最大1週間で何とかしたい」と曖昧だった。
 「モノは言いよう」だが、言い方そのものに、物事に対応する姿勢が透けて見える。

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