袴田さん差し戻し審 支援団体が高検に抗告取り下げ要請

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の支援団体が9日、即時抗告を取り下げるよう東京高検に要請した。高検が実施した実験からも「犯行着衣」の捏造(ねつぞう)と袴田さんの無実が「立証された」と訴えた。

会見で高検の即時抗告は取り下げられるべきだと訴える袴田巌さんの支援者たち=9日午後、東京都内
会見で高検の即時抗告は取り下げられるべきだと訴える袴田巌さんの支援者たち=9日午後、東京都内

 高裁で続く差し戻し後の即時抗告審では、事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「犯行着衣」を巡り、当時の捜査資料に「濃赤色」と記された血痕の色が焦点になっている。高検は今月1日まで約1年2カ月間、みそ漬けの血痕の変色具合を調べる実験を展開。確認作業に立ち会った弁護団によると、1年以上みそに漬かった血痕は黒くなった。
 各地の支援団体でつくる「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」は要請書で、「『条件によっては赤みが残りうる』となお主張することは許されず、静岡地裁の再審開始決定を確定させるべき」と指摘した。
 要請後に記者会見した日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会の新田渉世委員長は「(高検実験で血痕の赤みが消えたという)事実を広めていくことがわれわれの役割」と強調した

あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞