記者コラム「清流」 記憶に残る赤い月

 赤く色づき始めたモミジ越しに、丸い月が赤銅色に染まっていった-。好天に恵まれ、静岡県内各地で観測できた皆既月食。静まりかえった伊豆市修善寺のモミジ林で美しい天体ショーを満喫した。
 1580年以来、442年ぶりに皆既月食と惑星食が重なった。望遠レンズを使用してファインダーをのぞくと、きらりと光る天王星が少しずつ月に接近し、隠れていく様子が途切れることなく観測できた。442年前は戦国時代。街灯もなく、肉眼で星々がはっきり見えていたかもしれないと想像した。
 次に見られるのは2344年という。未来の人々も、2022年の自分たちに思いを巡らせるのかもしれない。宇宙の壮大さを感じるとともに、人生に一度の光景が見られたことに感謝した。

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