ドラマ館、放送後は/ユニバーサル農業/エコ容器転換策/豪雨時の車高所退避/浜松アリーナ改修【浜松市議会一般質問答弁】

 浜松市議会11月定例会は2日、前日に続いて一般質問を行い、露木里江子(自民党浜松)、山崎とし子(公明党)、馬塚彩矢香(市民サポート浜松)、波多野亘(自民党浜松)、柳川樹一郎(同)の5氏が登壇した。

大河ドラマ館 放送後は歴史資源展示施設に
 鈴木秀司観光・ブランド振興担当部長は来年の大河ドラマ「どうする家康」の放送に合わせてオープンする大河ドラマ館(中区)について、ドラマ終了後も存続させ、市の歴史資源展示施設として活用する方向で検討する方針を示した。柳川氏に対して答えた。
 市によると、元城小跡地に整備しているドラマ館は、期間を定めて一時的に設置される「仮設建築物」の許可を受けて建設している。ドラマ終了後は解体し、原状回復する予定だったが、存続・活用を求める声も多いため、維持管理コストなども踏まえて活用に向けた検討を進める。常設する際には改修工事が必要になるという。
 また、柳川氏から市内に残る家康ゆかりの文化財や伝承の価値について問われた嶋野聡文化振興担当部長は、「市民に親しまれ、愛される家康公のイメージをかたちづくった。浜松時代の家康公を語る上で欠かせない貴重な遺産」と重要性を強調した。

ユニバーサル農業 新モデル事業提唱へ
 障害者らの社会参加などを進める「ユニバーサル農業」について、浜松市の清水克農林水産担当部長は浜松市での取り組み開始から20周年となる2024年度に向け、同市独自の新しいモデル事業の提唱を目指す考えを示した。露木氏への答弁。
 モデル事業は23年度に海外の事例も含めた調査を行い、行政や福祉、農業、教育関係の団体などでつくる研究会を中心に検討を進める。24年度には、同市でユニバーサル農業に関連した全国大会の開催を目指す。
 ユニバーサル農業は農業・園芸を通じた障害者の就労機会の確保、高齢者の生きがいづくりといった効果を農業の担い手育成などにつなげる取り組み。同市では、04年の浜名湖花博に合わせて開催した園芸福祉全国大会を契機に「農福連携」など、さまざまな事業が始まった。

エコ容器への転換に効果 飲食店補助制度
 浜松市の藤野仁産業部長は、飲食店を対象に昨年度行ったエコ容器などの購入費補助事業について、環境問題の啓発やプラスチックごみ容器の削減に一定の効果があったとの認識を示した。馬塚氏への答弁。
 同事業は、新型コロナで厳しい経営状況が続く飲食店のテイクアウトやデリバリーの事業を支援するため、紙製のエコ容器などを対象に購入費の一部を補助する制度。280店舗から計335件の申請があり、飲食店からも好意的な意見が寄せられたという。
 藤野部長は「約6割が制度をきっかけにエコ容器に転換したと推察される」と述べた。

車の高所退避協定後押し 自治会と店舗、協議仲立ち
 浜松市の小松靖弘危機管理監は豪雨時に住民が地域の安全な駐車場に車を退避させることができるよう、自治会が店舗などと協定を結ぶ後押しを進める考えを示した。山崎氏に答えた。
 市内の一部自治会は高層階や高台に駐車場を持つ地域の店舗や企業と協定を結び、豪雨時に住民の駐車を可能にする仕組みを築いている。市も両者の協議を仲立ちし、協定書のひな型を提供するなど支援してきた。
 9月の台風15号では東区や浜北区を中心に浸水被害が多発し、水没で故障した車が数百台に上るとされる。今回の被害の後、新たに両区の2自治会が合同で果実集荷場と協定を結んでいて、各自治会で車の水没防止への関心が高まっている。
 小松危機管理監は「こうした自助や共助、地域が必要とする取り組みを支援していく」と述べた。

老朽化進む浜松アリーナ 大規模改修を検討
 嶋野聡文化振興担当部長は、老朽化が進む浜松アリーナ(東区)について、施設の長期利用を見据えて大規模リニューアルを検討していることを明らかにした。波多野氏への答弁。
 1990年開館の浜松アリーナは設備や内外装などの破損などが進み、外壁やつり天井などは大型工事の必要性に迫られている。さらに、プロスポーツなどの興行や全国・国際大会の開催に向けては今後、質の高い照明や大型映像装置、通信環境などの整備も求められる可能性がある。
 嶋野部長は「他都市ではプロスポーツの拠点化などを目指したスポーツ施設の新設・改修が進められている」とし、施設の在り方を定めた上で、民間活力の活用なども視野に入れた改修方針を検討する意向を示した。

 

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