保育士を手厚く配置 補助を拡充、人手不足改善へ 園児巡る事件受け政府

 政府は2023年度、4、5歳児を担当する保育士を手厚く配置するため、追加で保育士を雇う場合の人件費補助を拡充する。全国で相次ぐ送迎バス内への園児の置き去りや保育所での虐待を受けた措置。幼児教育や保育の質の向上と現場職員の負担軽減を図る。
 静岡県内では9月に牧之原市の認定こども園で園児が送迎バス内に置き去りにされ、死亡する事件が発生。11月には裾野市の私立保育園で園児への虐待が発覚した。
 保育現場で起こる問題の背景に、保育士の人手不足や過度な業務の負担があると指摘されている。政府は保育現場の勤務環境や人員不足を改善し、子どもの安全安心を守る体制の強化につなげる考えだ。
 利用定員121人以上の大規模保育所の4、5歳児クラスで「園児25人に保育士1人」の実現を目指す。23日に閣議決定した23年度政府予算案では、国の人件費補助の負担を13億円と見込んだ。全国の公立、私立保育所で計約4千カ所、全体の18%が対象になる。
 一方、4、5歳児の園児30人に対して保育士1人が必要と規定した国の「配置基準」は維持する。安定的な財源を確保できないことなどから、この配置基準は1948年から70年以上も変わっていない。小倉将信こども政策担当相は23日の閣議後会見で「(今回の予算措置が)長年、着手できていなかった4、5歳児の配置基準の改善に向けた第一歩と位置付けている」と強調した。
 園児の見落としによる事故を防止するため、全国の保育所と認定こども園で、登降園時やプール活動時など人手が必要となる際に保育士の業務を補助する支援員の配置も充実させる。補助額は一施設当たり月4万5千円。予算案に約10億円を計上した。

あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞