記者コラム「清流」 苦労の結実

 寒空の下、チョキチョキとはさみの音が響く-。沼津市の西浦地区では1月上旬にかけて特産の「西浦みかん寿太郎」の収穫が進んだ。友人の農家の手伝いで記者も収穫に挑戦した。
 好天に恵まれ、駿河湾越しに美しい富士山がはっきりと見えた。びっしりと実をつけた木から、果実に傷をつけないようにヘタを切る「二度切り」で採っていく。一本の木の収穫を終えるのに4人がかりで20~30分。高台にある畑には寒風が吹きつけ、急斜面での運搬作業も一苦労だ。作業に没頭していると、あっという間に1日が終わった。
 帰宅後、はさみを握り続けた指先が痛んだ。暖かいこたつで食べるミカン。ヘタの切り口を見て農家の苦労が浮かび、甘酸っぱい果実をいつもよりゆっくりと味わった。

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