静岡人インタビュー「この人」 シードライブラリーに取り組んでいる 川田忍さん(浜松市西区)

 種の大切さを伝える活動に取り組む生産者の任意団体「はままつ種ねっとわーく」の代表。「固定種」や「在来種」と呼ばれる地域に根付いた野菜の種を守ることを目的にした「シードライブラリー(種の図書館)」の活動を浜松市内で進めている。沼津市出身。57歳。

川田忍さん
川田忍さん

 ―シードライブラリーとはどのような活動か。
 「種を市民に貸し出し、その種で作物を栽培してもらう。作物が収穫できたら、その種の一部を返却してもらう仕組み。全国的にも広がっている活動で、図書館の本の貸し出しを想像してもらうと分かりやすい」
 ―始めたきっかけは。
 「ゲノム編集食品の種が自然界に無秩序に広がることに危機感がある。食の安全や、固定種、在来種の種を守るためには、種の大切さを知ってもらうことが必要。採った種をまくことができることを知らない人もいるので、『種の循環』の新たな形をつくりたいと思った」
 ―開設場所は。
 「現在はあいホール(中区)とはまゆう図書館(西区)の2カ所。当初は無料配布の種を置かせてもらっていたが、好評だったため、両施設の協力を得て2022年4月に“図書館”として開設した。小松菜やナス、シシトウなど会員や協力生産者が自家採取した50~60種の種を季節ごとに入れ替えている」
 ―今後の抱負を。
 「種の大切さを伝えるため、『ヘチマおじさん』として、保育園やイベントなどで啓発活動も行っている。種を通じ、食への意識を高めてほしい。少しずつでも学校給食のオーガニック化も広がれば。子供たちの未来に大人が責任を持ち、活動に取り組んでいきたい。協力してくれる生産者も募っている」

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