記者コラム「清流」 行政が大嫌いなこと

 トラブル、情報公開、住民参加―。自治体の事情に精通する大学教授から「行政が大嫌いなこと」を聞いた。
 28人が死亡する大惨事になった2021年7月の熱海土石流では、悪質な開発業者を規制すべき行政が機能せず「人災」を招いた。背景の取材を進めると「大嫌いなこと」の弊害に次々と遭遇した。
 規制に伴うトラブルを避けるためか土地所有者の不同意を理由に規制せず、危ない盛り土の場所は業者の訴訟リスクを恐れて公開せず、復興には住民の意見を反映せず…。
 事なかれ主義がはびこり、職員が目的意識を失っていないか。住民の安全を第一に考えて業者とのトラブルを恐れず、リスク情報を公開し、地域の声に耳を傾ける自治体に生まれ変わらなければ、被災者の犠牲は報われない。

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