記者コラム「清流」 優しい心につけ込む犯罪

 おれおれ詐欺や還付金詐欺の被害が後を絶たず、本紙では連日のように報じている。数年前、警察署で特殊詐欺未遂事件の被害に遭った女性を見かけたことがある。署員に対して気丈に振る舞いながらも「いまだに足が震えます」と口にしていたのを覚えている。現金は取られずに済んだが、一度信じた人間に裏切られ、犯罪に巻き込まれたショックは大きかったと思う。
 仕事や日常生活で多くの人に会うが、道に迷った時に案内してくれる人など、この地域には心温かい人が多いと感じる。優しい人であふれる社会が理想だが、悪事を働く人がいるのも事実。人を疑うのは悲しいが「もしかしたら詐欺かも?」と一呼吸置くことが必要な世の中になってしまった。優しい心につけ込む犯罪は許せない行為だ。
(掛川支局・伊藤さくら)

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