「特別抗告断念を」SNSで賛同の輪 袴田さん再審開始確定願い【最後の砦 刑事司法と再審】

 現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定に対して東京高検が最高裁に特別抗告する公算が大きくなる中、弁護団や日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会が、特別抗告を断念するよう求める動きをSNSでも強めている。ネット署名は開始から1日で賛同者が2万7000人を超え、増え続けている。

袴田巌さんの再審開始を認めた東京高裁決定を受け、検察に特別抗告しないよう求めるネット署名。賛同の輪が広がっている
袴田巌さんの再審開始を認めた東京高裁決定を受け、検察に特別抗告しないよう求めるネット署名。賛同の輪が広がっている


 特別抗告の期限は20日。高検が特別抗告しなければ再審開始が確定する。静岡地裁で再審公判が開かれ、袴田さんは無罪になる可能性が高い。特別抗告した場合は、再審開始の可否をめぐる審理が最高裁で続く。
 ネット署名は、戸舘圭之弁護士が15日に署名サイト「Change.org」で始めた。公益の代表者である検察官がすべきは「一日も早い無罪判決を出すために審理に協力すること」と訴え、賛同者から「(検察官は)正々堂々と再審裁判で主張すべき」「特別抗告の理由は一切ない」とコメントが寄せられている。
 戸舘さんは「反響に驚いている。全国的にはこの事件を初めて知った人も多いと思う。世論を盛り上げ、追い込みたい」と話した。
 日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会は、13日の決定直後から「ツイッターデモ」を展開。「検察は袴田事件の特別抗告を断念してください」「袴田巌さんに真の自由を」といった日本語と英語のハッシュタグを付け、拡散を呼びかけている。新田渉世委員長は「まだ検察は特別抗告というパンチを出せる。抗告の断念を求める動きを日本だけではなく、世界に広げていきたい」と言葉に力を込める。
 袴田さんの第2次再審請求では、支援団体によるネットでの情報発信も活発だった。2020年のクラウドファンディングは目標を上回る1800万円が集まり、20~40代の若い世代からの寄付が目立っていた。

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