記者コラム「清流」 熱意持って伝えたい

 美容大国タイのスパ産業関係者と、温泉を活用した産業振興に取り組む静岡県のプロジェクトメンバーの意見交換会で、タイ側出席者から拍手が起きた瞬間があった。本県側出席者の一人がタイ語であいさつした場面。会場の雰囲気が一気に和み、互いの心の距離が近づいたように感じた。
 流ちょうな英語を話す出席者が多く、伝わりやすさだけを考えればタイ語を使う必要はなかった。時間をかけて練習したというタイ語は、心を通わせようという熱意を示す最高のツールだったと思う。
 取材対象者の熱意を直接見聞き、感じるのが記者の喜びの一つ。だが立場上「熱意があれば通じる…」は言い訳にしかならず、分かりやすい文章が求められる。それでも、伝えようとする熱意は欠かさず持ち続けていたい。
(東部総局・矢嶋宏行)

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