伝承の昔話 若い力で次代へ 静岡文化芸術大生4人 書籍「春野の民話」刊行 高齢者から聞き取り87話

 静岡文化芸術大(浜松市中区)伝承文学ゼミの二本松康宏教授と学生4人が22日、市役所に鈴木康友市長を訪ね、同市天竜区春野町に伝わる民話をまとめた書籍「春野の民話」(三弥井書店)の刊行を報告した。

書籍「春野の民話」を手にする静岡文化芸術大伝承文学ゼミの学生=浜松市役所
書籍「春野の民話」を手にする静岡文化芸術大伝承文学ゼミの学生=浜松市役所


 ゼミ生4人は2022年5月~23年1月に同町の豊岡、宮川両地区で計23回の集団・個別採録などを実施。家庭で語り継がれている「昔話」や地域に伝わる「伝説」など、高齢者52人から聞き取った241話のうち、87話を掲載した。
 口承文化財としての価値を尊重し、聞き取った高齢者の方言や語り口調は変えずに収録。学生4人が調査を重ねた結果を「地域解説」として掲載した。
 文化政策学部3年の中沢明音さん(中区)は「同じ浜松市出身でも、知らない伝説や昔話が多かった。情報の裏付け調査が大変だったが、高齢者との触れ合いが楽しかった」と振り返った。
 同ゼミは14年度から北遠地域で民話の採録調査を実施し、1年間の成果として年度ごとに書籍を刊行している。書籍はA5判、172ページ。価格は1200円(税別)。市内書店などで購入できる。
 (浜松総局・宮崎浩一)

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